【受電】高圧ケーブルの選定方法と計算手順

高圧ケーブルのサイズってどうやって選定するの?
高圧ケーブルの選定方法は次の条件より計算を行いサイズの大きいほうを採用します。
-
- 短時間許容電流による選定
- 最大負荷電流による選定
高圧ケーブルの選定条件
まず始めに高圧ケーブルサイズの選定にはいくつかの条件があります。
高圧ケーブルのサイズ選定を行う際は、
下記の項目を満足させる必要があり計算結果の大きいほうを選定サイズとします。
- 短時間許容電流による選定
- 最大負荷電流による選定
短時間許容電流による選定手順
短時間許容電流とは。
短絡・地絡事故などで瞬時(長くても1~2秒程度)に大電流が流れる場合は、発生した熱量は全て導体の温度上昇にのみ費やされると考えることができます。
電線・ケーブルの短絡時または地絡時の許容電流は、絶縁体の種類に応じて、簡略計算式を用いることが可能です。この短絡または地絡時の許容電流値が短時間許容電流になります。
短時間許容電流による選定手順
短時間許容電流による選定
短絡時には瞬時に大電流(短絡電流)が発生するため、ケーブル自体の【短時間許容電流】が【短絡電流】以上ある必要があります。ケーブルサイズの短絡時許容電流の計算式は下記になります。
A=I√t/134(架橋ポリエチレン)
A:導体交渉断面積
I:受電点の短絡電流
t:短絡電流通電時間(秒)
※変電所の過電流継電器の動作時間:0.2秒
導体:銅 短絡前導体温度:90℃ 短絡時導体温度:230℃の場合
38[㎣]=I√0.2/134(0.003337)
I=38°/0.003337=11.3[kA]
6kVCV-T 38sq=11.3[kA]
※概略計算 38[㎣]×300=11.4[kA]
60[㎣] I√0.2/134(0.003337)
I=60°/0.003337=17.98[kA]
6kVCV-T 60sq=17.98[kA]
※概略計算 60[㎣]×300=18.0[kA]
となり求めた値以下の短絡電流にする必要があります。
- 6kVCV-T 38sq=11.4[kA]
- 6kVCV-T 60sq=18.0[kA]
受電点の短絡容量の確認
次に短絡電流を求めるために受電点の短絡容量を確認する必要があります。
引込点の最寄りの電柱等に記載されている電柱番号を管轄の電力会社に問い合わせ短絡容量の確認を行いましょう。電柱番号の見分け方については各電力会社のホームページに記載されています。
電柱番号の確認
![]()
⇓
管轄の電力会社に問い合わせ
(短絡容量の聞き取り)
![]()
⇓
短絡容量により短絡電流の算出
![]()
施工時のトラブルとならないよう引込柱の情報を記載しておくようにしましょう。
- 〇〇電力柱
- 電柱番号
- 短絡容量
- B種接抵抗値
I[kA]=短絡容量[MVA]/6.6[kV]×√3
短絡容量が74MVAの場合(電力会社に確認した値)
I=74[MVA]/6.6[kV]×√3(10.39)
=7.12[kA]
11.3[kA](6.6kV CVT38sqの短時間許容電流)>7.12[kA]
最大負荷電流による選定
次に最大負荷電流値による選定方法について解説したいと思います。
短時間許容電流による選定は外部要因『短絡容量』によるケーブルサイズの選定ですが、最大負荷電流による選定は、内部要因『受変電設備』の負荷容量より決定されます。
高圧ケーブルのサイズ選定を行う際は、この両方の結果を満足する必要があります。
最大負荷電流値の計算
最大負荷電流は新築建物の実際の最大負荷電流値は”契約容量”により算出を行います。
しかしケーブル選定の段階では契約容量が決まっていない場合が多いので、需要家の受変電設備容量より最大電流値の算出を行います。
受変電設備の変圧器容量は、実際に使用する建物の負荷容量よりも大きくなるように計画しますので、変圧器容量により求めた負荷電流値が需要家の最大負荷電流値と考え最大負荷電流値を満足できる高圧ケーブルを選定すればよいです。
変圧器容量による負荷電流値の計算方法
建物の最大負荷電流はトランス容量によって選定することができます。各トランスごとの電流値を計算し合計したものが建物の最大負荷電流値になります。

- 単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
- 三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV
計算例
- 単相変圧器 300KVA×2台
- 三相変圧器 200kVA×3台
- 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
- 単相トランス300KVA÷6.6kV=45.5A
- 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
- 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
- 3相トランス200KVA÷(√3×6.6kV)=17.5A
最大負荷電流値=45.5+45.5+17.5+17.5+17.5=126A
各トランス容量から一次側電流値を計算し合計値を建物の最大負荷電流値と仮定します。
6.6kV CVTケーブルの許容電流
6600Ⅴ CVTケーブルの許容電流 周囲温度40℃
ケーブルサイズ 電流値 22 sq 120 A 38 sq 170 A 60 sq 225 A 100 sq 310 A 150 sq 405 A 200 sq 485 A 250 sq 560 A 325 sq 660 A 400 sq 750 A 500 sq 855 A 600 sq 950 A 空中暗渠周囲温度25°Cの場合、最大負荷電流値【126A】を超える許容電流を持つケーブルサイズは【CVT38sq(170A)】となります。
出典:(電線・ケーブルの許容電流について | 橋本興産 (hashimoto-kosan.jp))より
まとめ
選定条件
- 短時間許容電流
- 最大負荷電流
の2項目ありそれぞれ選定したうちの大きいほうのサイズにて決定します。
ケーブルサイズ毎の短時間許容電流
- 6kVCV-T 38sq=11.4[kA]
- 6kVCV-T 60sq=18.0[kA]
ケーブルサイズ毎の短時間許容電流は上記値となり受電点の短絡電流が11.4[kA]を超えれば60sqとなります。受電点の短絡容量は、管轄の電力会社に問い合わせる必要がありますので、引込点に近接する電柱番号を控えておくようにしましょう。
最大負荷電流の求め方
- 新築建物の契約容量により算出する
- 受変電設備の変圧器容量より算出する
変圧器容量による最大負荷電流の求め方
- 単相変圧器一次電流=変圧器容量÷6.6kV
- 三相変圧器一次電流=変圧器容量÷√3×6.6kV
契約容量は設計段階で決まっていないことが多いため受変電設備の変圧器容量により求める場合が多くなります。選定の際は各変圧器容量より電流値を求め最大負荷電流値を算出しケーブルサイズを決定するようにしましょう。

