このページでは、短絡容量と短絡電流の計算について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の電力科目の試験で、実際に出題された短絡容量と短絡電流の計算の過去問題も解説しています。
定格遮断容量と短絡容量
三相の定格遮断容量
遮断器が定格電圧で遮断できる電流を定格遮断電流といい、開閉できる最大の容量を定格遮断容量といいます。三相の場合は次の式で表すことができます。
三相の定格遮断容量[V・A]
電力このページでは、短絡容量と短絡電流の計算について、初心者の方でも解りやすいように、基礎から解説しています。また、電験三種の電力科目の試験で、実際に出題された短絡容量と短絡電流の計算の過去問題も解説しています。
遮断器が定格電圧で遮断できる電流を定格遮断電流といい、開閉できる最大の容量を定格遮断容量といいます。三相の場合は次の式で表すことができます。
三相の定格遮断容量[V・A]
×定格電圧×定格遮断電流
遮断器は三相短絡電流を遮断できる能力が必要です。短絡容量は事故時に遮断器を通る電流によって求めることができます。
三相短絡容量[V・A]
×系統の線間電圧×三相短絡電流
百分率インピーダンス %Z は、負荷電流(線電流)In[A]が流れるとき、1相当たりの線路や変圧器内部などのインピーダンス Z[Ω]によって生じる電圧降下 InZ[V]が、相電圧(対地間電圧)En[V]の何パ―セントになるかを表したものです。
百分率インピーダンスの定義式
[%]

短絡事故とは、電線間が抵抗 0[Ω]で接続された状態になることです。短絡箇所には大電流が流れ非常に危険な状態です。短絡電流を、百分率インピーダンス(%インピーダンス)法で求めてみます。
負荷で短絡事故が起こった場合の短絡電流を
とします。オームの法則より、
で求めることができます。この式から Z を %Z で表します。

三相交流は相電圧よりも線間電圧で表す場合が多いので、線間電圧を Vn[V]とすれば、百分率インピーダンス %Z は次の式で表すことができます。
[%]
ここで、定格容量を P[V・A]とすると、
ですので、次の式に変形することができます。
三相短絡電流 IS は、
で求めることができます。この式から Z を %Z で表します。
はじめに基準電圧 VB[V]と基準容量 PB[V・A]を決めます。基準電圧は短絡点の線間電圧とすることが多いです。基準容量は全構成機器の基準となる容量で、任意に設定できます。
ある機器Tの定格容量(自己容量)を PT[V・A]、パーセントインピーダンスを %ZT とすると、基準容量 PB[W]の下でのパーセントインピーダンス %Z’ は、次の式で表すことができます。
次に、短絡点から電源側をみたときの合成パーセントインピーダンス %Z を計算します。そして、次の式で定格電流 In を計算し、三相短絡電流 IS を求めます。

① 短絡点の線間電圧を基準電圧 VB とします。
(変圧器の定格電圧2次側)
② 基準容量 PB を設定します。(任意に設定できます。)
③ 各機器の パーセントインピーダンス を基準容量 PB に合わせて換算します。
④ 短絡点から電源側の合成%インピーダンス( %Z )を計算します。
⑤ 基準容量 PB と基準電圧 VB から、定格電流 In を計算します。
⑥ 三相短絡電流 IS を計算します。

① 短絡点の線間電圧を基準電圧 VB とします。
(変圧器の定格電圧2次側)
② 基準容量 PB を設定します。(任意に設定できます。)
③ 各機器の パーセントインピーダンス を基準容量 PB に合わせて換算します。
④ 短絡点から電源側の合成%インピーダンス( %Z )を計算します。
⑤ 基準容量 PB と基準電圧 VBから、定格電流 In を計算します。
⑥ 三相短絡電流 IS を計算します。
中性線の接地抵抗が R[Ω]の系統で、一線地絡事故が発生した場合、地絡の抵抗 Rg[Ω]を通して、地絡電流 Ig[A]が流れます。

尚、中性線非接地方式の系統においては、対地静電容量の影響を考慮しなければなりません。