保護協調例
保護協調例
第5章 保護協調と保護継電器
ある系統例において、変圧器の励磁突入電流の曲線を算出し、それによって、動作しないOCRの瞬時タップを求めてみます。
| (1) | まず、保護協調シートに形K2CAの動作時間特性曲線を描きます。限時整定が4Aですから、 |
| (2) | 次に、変圧器励磁突入電流の表より、変圧器の容量ごとに計算された電流値をリストアップし、この場合2つの変圧器があるので、これらを加算します。 |
| 0.01s | 0.05s | 0.1s | 0.5s | 1s | 5s | |
| 3φT 300kVA | 218A | 146A | 119A | 57.9A | 40.9A | 26.2A |
| 1φT 100kVA | 272A | 179A | 140A | 63.8A | 46.8A | 21.3A |
| 合計 | 490A | 325A | 259A | 121.7A | 87.7A | 47.5A |
| (3) | 時間に対する電流値をシートにプロットし、曲線を引きます。 |
| (4) | この励磁突入電流曲線が、OCR瞬時要素時間特性と交叉しない瞬時要素タップを選び、この場合40A以上となります。 |
| (5) | 下の保護協調の例に定格電流の10倍、0.1秒の点を破線で示してみましたが、これによると、50A以上となります。 |
| (6) | コンデンサの充電電流も高圧コンデンサ充電電流の表よりプロットしてみました。この曲線は、電流値が小さく、励磁突入電流曲線と時間ごとに加算しても励磁突入電流曲線のみと大差がなく、OCRの動作の面からは、励磁突入電流だけを考えれば良いことがわかります。 |

■CTの選択について
OCRを正しく使用するためには、事故電流を検出するCTについても、注意が必要です。OCR用CTは、事故時にOCRを正確に動作させ、誤動作・誤不動作が起きないようにしなければなりません。そのためには、定常状態の誤差はあまり問題ではなく、むしろCTの過電流領域の特性が問題となります。容量(VA)が不足しているCTに定格電流値以上の大きな電流が流れますと、CTは磁気飽和を起し、OCRに流れる電流が CT 1次電流に比例して増加しなくなり、その結果、瞬時要素動作値の誤差が増えます。また、CT 2次電流引きはずし方式では、OCRが動作してトリップコイルがCTの負担に加わりますと、CTの飽和はさらに高まり、電流実効値が減少して、OCRは動作しているのにトリップしないことも起こりえます。このため、CTの容量や過電流定数の選定についての検討が必要です。
CTの容量を決定する一応の目安として、

という式を参考にしてください。
また、CT 2次電流引きはずし方式のOCRでは、CT容量が過大であったり、2次負担が極端に少ないと、大きな事故電流をOCRのトリップ接点が開放することになり、接点の損傷を招くことがあります。
OCRを正しく使用するためには、事故電流を検出するCTについても、注意が必要です。OCR用CTは、事故時にOCRを正確に動作させ、誤動作・誤不動作が起きないようにしなければなりません。そのためには、定常状態の誤差はあまり問題ではなく、むしろCTの過電流領域の特性が問題となります。容量(VA)が不足しているCTに定格電流値以上の大きな電流が流れますと、CTは磁気飽和を起し、OCRに流れる電流が CT 1次電流に比例して増加しなくなり、その結果、瞬時要素動作値の誤差が増えます。また、CT 2次電流引きはずし方式では、OCRが動作してトリップコイルがCTの負担に加わりますと、CTの飽和はさらに高まり、電流実効値が減少して、OCRは動作しているのにトリップしないことも起こりえます。このため、CTの容量や過電流定数の選定についての検討が必要です。
CTの容量を決定する一応の目安として、

という式を参考にしてください。
また、CT 2次電流引きはずし方式のOCRでは、CT容量が過大であったり、2次負担が極端に少ないと、大きな事故電流をOCRのトリップ接点が開放することになり、接点の損傷を招くことがあります。

