これで理解!電磁接触器と電磁開閉器~仕組みや用途の違い~
電磁接触器とは
電磁接触器はコイルの電磁力によって接点を開閉する装置です。
プランジャ形のリレーを大形にした構造で、電流容量の大きい主接点と電流容量の小さい補助接点を備えています。
主に電動機、ヒーター、ランプなどの負荷電流の開閉を目的に使用されます。
リレー(電磁継電器)とは明確に区分され、呼び方は「マグネットコンダクタ」(略称:MC)です。
| 名称 | 略称 | 図記号 |
| リレー(継電器)(Relay) | R | ![]() |
| 電磁接触器(Electromagnetic Contactor) | MC | ![]() |
リレーとの違い
リレーとの違いは、電動機などの負荷の開閉に用いるための「主接点」と、自己保持などの状態を操作するための「補助接点」が分けて設けられていることです。
リレーは主接点のみです。
また、電動機の制御における突入電流など厳しい使用条件に耐えられる規格に準拠しています。
電磁接触器の性能
電磁接触器の規格(JIS C8201-4-1)は、接点で閉路・遮断できる電流容量を「級別」、1時間当たりの開閉頻度を「号別」、機械的・電気的耐久性を「種別」の3つの区分で示しています。
例えば、写真で示した電磁接触器は銘板に「AC-3・0・0-0種」と表示されています。
これは「閉路電流は定格使用電流の10倍まで、遮断電流は定格使用電流の8倍まで、開閉頻度は1時間に1800回まで、機械的耐久性1000万回以上、電気的耐久性100万回以上という性能を示します。
電磁開閉器とは
電磁開閉器は、電磁接触器とサーマルリレー(熱動継電器)を組み合わせたもので、電動機制御の主回路などに使用されます。
呼び方は「マグネットスイッチ」(略称:MS)です。
サーマルリレーのサーマルとは「熱で動作する」ことを意味します。
サーマルリレーとは
サーマルリレー(熱動継電器)は、電動機などの負荷の機器を守るために、負荷電流が設定値以上になった時に接点を開閉させる過負荷保護用の継電器です。
電気の力で動作せずに熱の力で動作します。
主端子間の電線(ヒーター線)はバイメタルに巻かれており、この電線に流れる電流が一定値以上になると、熱せられたバイメタルが変形して、これに連動したレバーによって機械的に接点を動作させます。
バイメタル
・熱膨張率が違う金属を張り合わせたもの
・バイメタルは熱くなるほど曲がる
接点が動作する電流値は電流値を設定する調整つまみ(電流設定ダイヤル)で設定します。
このときに注意することがあります。
調整つまみ部の文字を見てください。
「RC」か「TC」のどちらかが書かれています。
書かれている文字によって、設定が異なります。

| 目盛り | 設定方法 |
| RC目盛(Rated Current) | 定格電流値を設定
(定格電流目盛のことで、その目盛の電流値で動作せず、125%電流で動作する。) |
| TC目盛(Tripping Current) | 定格電流値×1.25倍を設定
(動作電流目盛のことで、その目盛の電流値で動作する。) |
例として上図のサーマルリレーを使用した場合、設定値は1.7~2.5Aまで設定できます。
仮に定格2.1Aの電動機を接続する場合は、RC目盛りの為、2.1Aにつまみを合わせます。
もし、つまみを2.5Aした場合は、2.1Aに設定した時よりサーマルが動作するまで時間がかかります。
間違えて設定すると動作しなかったり、すぐに動作することがあるので気を付けましょう。



