【受電】PASの選定方法と定格電流の計算方法について

今回の疑問

PASの定格電流ってどうやって求めるの?

その他の機能ってどうやって決めてるの?

 

結論

結論:PASの定格電流は次の要素より算出し求めたサイズの大きいほうを採用します

  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

 

 

本記事の内容

今回は、PASの選定方法について解説したいと思います。電気設備工事においてPASの設置を行うことがあるかと思います。設計図にPASの仕様が記載されているけど、どういった基準で選定しているの?改修工事の際に、PASの仕様を変更する必要はない?といった疑問について解説していますので、PASの仕様について詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。それではよろしくお願いします。

定格電流の選定

 

定格電流の選定
  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

PASの定格電流は、次の2つの項目より選定する必要が各々の計算結果の電流値が大きいほうに合わせてPASの定格電流を選定します。

負荷電流の計算方法

申請建物全体の負荷電流値を算出し負荷電流以上の定格電流値の容量を選定しましょう。

I={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5[A]

I:負荷電流

0.9:回路力率

1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

※契約電力が決定していない場合、変圧器総容量から負荷電流を算出する

(最大負荷容量となるため負荷電流が大きくなるため要検討)

高圧ケーブルの選定方法と計算手順

定格電流の計算例

契約容量500[kVA]の場合・・・

I={500/(√3×6.6×0.9)}×1.5

=(500/10.2884)×1.5

72.9[A]

 

 

 

受電点の短絡電流による算出

受電点の短絡電流は、短絡容量から求める必要があるのですが、受電点の短絡容量は管轄の電力会社に問い合わせる必要があります。

 

短絡電流毎の定格電流
受電点の短絡電流[kA](MVA) PAS定格電流[A]
8未満(100) 200
8以上12.5以下(160) 300、400

左枠の受電点短絡容量を管轄の電力会社問い合わせて確認しましょう。

 

図面への記載方法

施工時のトラブルとならないよう引込柱の情報を記載しておくようにしましょう。

  1. 〇〇電力柱
  2. 電柱番号
  3. 短絡容量
  4. B種接抵抗値

 

 

受電点の短絡電流による定格電流の求め方

受電点の短絡電流が

  • 8[kA]未満の場合       =200[A]
  • 8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

仮に受電点の短絡電流値が9.0[kA]の場合8以上12.5[kA]以下の範囲に該当するため300[A]を選定します。

 

 

上記検討結果を基に・・・

上記2つの項目から値の大きいほうをPASの定格電流として選定します

  1.  72.9[A]=200[A]
  2.  9.0[kA]=300[A]

のため、②の短絡容量より選定した300[A]を定格電流となります。

 

 

メーカーの選定方法の記載のある通りPASの定格電流値は、開閉器の定格電流若しくは適用系統短絡容量のいずれかの大きいほうを選定しましょう。

カタログ | 戸上電機製作所 (togami-elec.co.jp)

 

 

 

PAS及び関連機器の選定

 

PASには定格電流やLA・VTなどといった関連機器の仕様を選定する必要があります。各項目には選定の基準があり設置条件によって内容が異なってきます。選定方法をよく理解し設置状況にそぐわない仕様のものを選定しないよう注意しましょう。

PASの仕様
定格電圧、定格電流 温度計無料アイコン
制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否) ツールボックス
地絡リレーの方向性の要否 順番
LA内蔵の要否 稲妻
ケースの選定 ボックス
設置環境の確認 太陽のないアイコン

 

 

 

定格電圧の選定

PASの定格電圧

 

6.6[kV]×1.2/1.1=7.2[kV]

※定格電圧の標準値は、常時の系統電圧の変動を考慮し、公称電圧の1.2/1.1倍としている。

 

 

PAS(気中負荷開閉器)とは。

PASとは気中開閉器のことを差すのですが機器などの略称に使用される英単語を翻訳するとより覚えやすくなります。

Pole 柱、ポール
mounted 乗る
Air 空気
Insulatated 絶縁
Switch 切り替え、開閉器

 

 

PAS(気中負荷開閉器)の用途

PASの主な用途は、設置されている需要家側での電気事故が発生した際の波及事故を防ぐ役割があります。

 

PASとキュービクル間を接続する高圧ケーブルの地絡・短絡事故はキュービクル側での保護ができないためPASを設置しSOGから信号を受けて回路を遮断します。

 

このため電力会社との責任分界点となる場合が多いです。

まとめ

 

PASの選定方法

PASの仕様一覧

  1. 定格電圧、定格電流
  2. 制御装置の電源の取り方(VT内蔵の要否)
  3. 地絡リレーの方向性の要否
  4. LA内蔵の要否
  5. ケースの選定
  6. 設置環境の確認

定格電流の選定

  1. 負荷電流より算出する方法
  2. 受電点の短絡電流により算出する方法

負荷電流の求め方

  • I={契約電力/(√3×6.6×0.9)}×1.5[A]
  • I:負荷電流
  • 0.9:回路力率
  • 1.5:負荷の変動率等を考慮した安全係数

受電点の短絡電流による求め方

  • 8[kA]未満の場合       =200[A]
  • 8以上12.5[kA]以下の場合 =300[A]

今回は、PASの規格における定格電圧と定格電流の選定方法について解説しました。

定格電圧は、6.6[kV]の場合、7.2[kV]と固定ですが、

定格電流は負荷容量若しくは短絡電流値により変動するので選定には注意が必要です。

PAS選定の際は、特に定格電流に注意し選定を行うようにしましょう。

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