高調波対策|高調波ってなに?発生原因と対策内容について詳しく解説
高調波の発生原因ってなに?
対策方法はあるの?
今回は、高調波について解説したいと思います。近年は機器側に高調波対策がされている場合が多いですが、工場などで機器を流用している場合や、エレベーターなどが多い場合、対策が必要となり費用のトラブルにならないようと十分に検討が必要です。計算方法や手順が気になった方はぜひ最後までご覧ください。それではよろしくお願いします。
- 高調波という単語と聞いた方
- 高調波の何がいけないのか気になった方
- 結局何をしないといけないのかわからない方など
高調波とは。
””ひずみ波交流の中に含まれている、基本波の整数倍の周波数をもつ正弦波””
- 周波数成分をもつ波を基準としたとき、その整数倍の波を「高調波」といいます
- 基本波周波数を50Hz(東日本)とした場合、第3次調波は150Hzとなります
- 150Hz等より流れる電流を高調波電流という
高調波による主な影響(何が問題なの?)
| コンデンサ設備 | 過大な高調波電流の流入によるコンデンサ及び直列リアクトルの過熱や騒音の発生 |
|---|---|
| 変圧器・回転機器等 | 銅損の増加、機器の過熱及び騒音の増大 |
高調波の発生源となる主な機器
| インバータ機器類
(空調機、ポンプ、エレベータ、エスカレータなど) |
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|---|---|
| 医療機器
(MRI、CT、X線装置など) |
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| クレーン・巻上機 | ![]() |
| 調光機器
(調光盤があるもの) |
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| 工場用生産機器など | ![]() |
電源系統というのは発電所から複数の需要家に送電しています。高調波対策を行っていない場合、各需要家に接続されている機器から配電系統へ高調波電流が流入(川が下流に行くにつれて少しずつ汚れていくイメージ)し他の需要家への影響を及ぼすため、高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)が設けられています。
高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)
電力系統に接続される機器を保護するため、高圧又は特別高圧で受電する需要家からの高調波電流流出を抑制する。
| 平成6年 | 高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-1997)を制定。 |
|---|---|
| 平成25年 | 高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)に改訂され、平成26年4月に発刊。 |
指針の改訂内容
- 表現が分かりにくい箇所の改善
- ビル設備の需要家対象に、条件付で規制緩和
(高圧受電、進相コンデンサがL付、換算係数Ki=1.8を超える負荷がない事が条件) - 高調波発生機器の製造業者は、それが高調波発生機器である事を明示する事が義務化
- 負荷の回路分類にあらたな分類を追加
- ビル設備の標準的稼働率の設定、及び補正係数適用範囲の見直し自家用発電機を有する需要家向けに、契約電力相当値を採用
- 直列リアクトル付進相コンデンサを設置する場合の、高調波低減効果に関する規定追加
高調波の対策
| インバータ用 リアクトル (ACL、DCL) |
交流側にリアクトル(ACL)を設置または直流側にリアクトル(DCL)を設置 |
|---|---|
| 高圧進相 コンデンサ設備 |
高圧側にリアクトルとコンデンサを設置
|
| アクティブフィルタ (能動フィルタ) |
高調派電流の逆位相の電流を流すことにより高調波を相殺する |
| 多相化変圧器 | 12パルス効果で高調波電流を低減。12K±の高調波次数が発生する。(K:正の整数) |
| 低圧進層 コンデンサ設備 |
低圧側にリアクトルとコンデンサを設置 |
| ACフィルタ (受動フィルタ) |
5次、7次、11次の3種類のフィルタ(コンデンサとリアクトルの組合せ)高調波電流を吸収する |
高調波流出電流計算書にて基準値以内になるよう計算と対策を繰り返し行います。赤文字ものが対策として主に活用されているもので、機器側に組み込まれているか確認を行う必要があります。
高調波対策協議のフロー
工事の際は、管轄の電力会社に対し高調波流出電流計算書を提出し流出量が基準値内であるか報告する必要があります。先に説明しました高調波を発生する機器を多く含む建物は、特に注意が必要です。
空調機などは機器側に高調波対策が行われているものがほとんどですが、古い生産機器などは、未対策のものが多いので機器側の仕様をよく確認しましょう。
高調波抑制装置(アクティブフィルタ) よくある質問|製品情報|変圧器のレンタル・販売なら淀川変圧器 (yodohen.co.jp)
まとめ
高調波とは。
- 周波数成分をもつ波を基準としたとき、その整数倍の波を「高調波」といいます
- 基本波周波数を50Hz(東日本)とした場合、第3次調波は150Hzとなります
- 150Hz等より流れる電流を高調波電流という
主な発生機器
- インバータ機器類(空調機、ポンプ、エレベータ、エスカレータなど)
- 医療機器(MRI、CT、X線装置など)
- クレーン・巻上機
- 調光機器(調光盤があるもの)
- 工場用生産機器など
高調波抑制対策技術指針(JEAG9702-2013)の主な改訂内容
- 表現が分かりにくい箇所の改善
- ビル設備の需要家対象に、条件付で規制緩和
(高圧受電、進相コンデンサがL付、換算係数Ki=1.8を超える負荷がない事が条件) - 高調波発生機器の製造業者は、それが高調波発生機器である事を明示する事が義務化
- 負荷の回路分類にあらたな分類を追加
- ビル設備の標準的稼働率の設定、及び補正係数適用範囲の見直し自家用発電機を有する需要家向けに、契約電力相当値を採用
- 直列リアクトル付進相コンデンサを設置する場合の、高調波低減効果に関する規定追加







