幹線計算|許容電流によるケーブルサイズ選定方法について解説

今回の疑問

 

幹線のケーブルサイズってどうやって求めるの?

 

結論

 

幹線のサイズを選定する際、次の3項目のうち一番大きいサイズを採用します

  1. 負荷電流値より大きい許容電流値を持つケーブルサイズ
  2. 電圧降下率が規定値以内に収まるケーブルサイズ
  3. 分岐幹線の場合、幹線の過電流遮断器の関係を満足するケーブルサイズ

 

本記事の内容

電気設備の計画を行う際、幹線設備はほぼすべての件名に必要な設備になります。幹線サイズの正しい選定方法を理解し適正なサイズを求めることで不要なコストの削減・未検討による火災などの事故原因とならないよう選定のための条件を理解し適正なサイズ検討を行いましょう。

 

本記事のおすすめの方
  • 幹線計算方法を知りたい方
  • 図面の幹線サイズが適正か疑問に思った方
  • サイズを小さくできないか検討されている方

 

 

 

幹線選定の重要項目

幹線選定の検討項目

幹線のサイズを選定する際、次の3項目のうち一番大きいサイズを採用します

  1. 負荷電流値より大きい許容電流値を持つケーブルサイズ
  2. 電圧降下率が規定値以内に収まるケーブルサイズ
  3. 分岐幹線の場合、幹線の過電流遮断器の関係を満足するケーブルサイズ

 

幹線の許容電流

幹線にはケーブルサイズ毎に許容電流があり、接続される負荷の定格電流の総合計以上にする必要があります。

火山特に負荷に電動機が含まれる場合、始動時に大電流が流れるため始動電流を考慮して計算する必要があります。

 

 

幹線の許容電流計算方法

許容電流のポイント

 

必要な要素
  • 幹線の許容電流:IW
  • 電動機の定格電流の総和:IM
  • そのほかの負荷の定格電流の総和:IH
重要項目
  1. 幹線の許容電流【IW】は IM≦IH の時 IW≧IM+IH
  2. IM>IH で IM≦50A の場合 IW≧1.25IM+IH
  3. IM>IH で IM>50A の場合 IW≧1.1IM+IH

 

次の表を見てみよう!
電動機 その他の負荷 幹線
モーター類 オーブン、ヒーター類
IM IH IW
モーター オーブン ヒーター

 

 

幹線の許容電流計算のポイント

電動機容量が小さい場合

幹線の許容電流【IW】は IM≦IH の時 IW≧IM+IH
電動機の定格電流の総和 そのほかの負荷の定格電流の総和 IM=IH 幹線の許容電流≧負荷の定格電流の総和
電動機の定格電流の総和 そのほかの負荷の定格電流の総和 IM<IH
  1. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」と等しい場合
  2. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より小さい場合
  3. IW「幹線の許容電流」はIM「電動機の定格電流の総和」とIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」の合計より大きい若しくは等しい値となります
モーター ヒーター の時
モーター ヒーター

 

 

電動機容量が大きい場合

IM>IH で IM≦50A の場合 IW≧1.25IM+IH
電動機の定格電流の総和 そのほかの負荷の定格電流の総和 電動機の定格電流の総和が大きい 幹線の許容電流≧1.25×電動機の定格電流の総和+そのほかの負荷の定格電流の総和
電動機の定格電流の総和 50A 等しい若しくは小さい
  1. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より大きい場合
  2. 上記かつIM「電動機の定格電流の総和」が50Aと等しい若しくは小さい場合
  3. IW「幹線の許容電流」はIM「電動機の定格電流の総和」に1.25とIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」の合計より大きい若しくは等しい値となります
モーター ヒーター かつ
モーター 50A の時
モーター

×1.25

ヒーター

 

電動機が50A以下の場合、電動機の負荷電流値を1.25倍します!

 

 

IM>IH で IM>50A の場合 IW≧1.1IM+IH
電動機の定格電流の総和 そのほかの負荷の定格電流の総和 電動機の定格電流の総和が小さい 幹線の許容電流≧1.1×電動機の定格電流の総和+そのほかの負荷の定格電流の総和
電動機の定格電流の総和 50A より小さい
  1. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より大きい場合
  2. 上記かつIM「電動機の定格電流の総和」が50Aより小さい場合
  3. IW「幹線の許容電流」はIM「電動機の定格電流の総和」に1.1とIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」の合計より大きい若しくは等しい値となります
モーター ヒーター かつ
モーター 50A の時
モーター

×1.1

ヒーター

 

電動機が50A以上の場合、電動機の負荷電流値を1.1倍します!

 

  • 幹線の許容電流は、負荷電流値の総和以上を持つものを選定します。
  • 負荷に電動機が含まれる場合、始動電流を考慮し電動機の負荷電流に係数をかけます

その他の負荷より電動機の定格電流が大きい場合・・・

  1. 電動機は50Aと小さい若しくは等しい場合1.25倍
  2. 電動機が50Aを超える場合1.1倍

 

補足:過電流遮断器の定格電流

過電流遮断器の定格電流

過電流遮断器は、幹線を保護するための役割をもつためIB「過電流遮断器の定格電流」はIW「幹線の許容電流」より小さい若しくは等しくする必要がありますが負荷に電動機が接続されている場合下記条件により選定します。

 

ケーブルの許容電流以上の負荷電流が流れると発火などの原因になってしまうよ!
電動機なし IB≦IW
電動機あり 2.5IW≧3IM+IH IB≦3IM+IH
2.5IW<3IM+IH IB≦2.5IW
電動機 その他の負荷 開閉器 幹線
モーター類 オーブン、ヒーター類
IM IH IB IW
モーター オーブン ヒーター

 

負荷に電動機を含まない場合
電動機なし IB≦IW
モーター

負荷に電動機を含まない場合

  • 過電流遮断器はケーブルの許容電流より小さい若しくは等しい値を選定します
負荷に電動機を含む場合
電動機あり 2.5IW≧3IM+IH IB≦3IM+IH
モーター ×2.5 モーター×3 ヒーター
の時 モーター×3 ヒーター

負荷に電動機を含む場合

  • ケーブルの許容電流×2.5≧電動機の定格電流×3+その他の負荷の定格電流のとき
  • 過電流遮断器≦電動機の定格電流×3+その他の負荷の定格電流の値を選定します

 

電動機あり 2.5IW<3IM+IH IB≦2.5IW
モーター ×2.5 モーター×3 ヒーター
の時 ×2.5

負荷に電動機を含む場合

  • ケーブルの許容電流×2.5<電動機の定格電流×3+その他の負荷の定格電流のとき
  • 過電流遮断器≦ケーブルの許容電流×2.5を選定します

 

ケーブル許容電流と負荷電流のどちらか小さいほう以下のブレーカーサイズを選定しましょう!

 

 

まとめ

幹線計算|許容電流によるケーブルサイズの選定方法

必要な要素

  • 幹線の許容電流:IW
  • 電動機の定格電流の総和:IM
  • そのほかの負荷の定格電流の総和:IH

重要項目

  • 幹線の許容電流【IW】は IM≦IH の時 IW≧IM+IH
  • IM>IH で IM≦50A の場合 IW≧1.25IM+IH
  • IM>IH で IM>50A の場合 IW≧1.1IM+IH
電動機 その他の負荷 幹線
モーター類 オーブン、ヒーター類
IM IH IW
モーター オーブン ヒーター

IM≦IH の時 IW≧IM+IH

  1. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より等しい場合
  2. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より小さい場合
  3. IW「幹線の許容電流」はIM「電動機の定格電流の総和」とIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」の合計より大きい若しくは等しい値となります

IM>IH で IM≦50A の場合 IW≧1.25IM+IH

  1. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より大きい場合
  2. 上記かつIM「電動機の定格電流の総和」が50Aと等しい若しくは小さい場合
  3. IW「幹線の許容電流」はIM「電動機の定格電流の総和」に1.25とIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」の合計より大きい若しくは等しい値となります

IM>IH で IM>50A の場合 IW≧1.1IM+IH

  1. IM「電動機の定格電流の総和」がIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」より大きい場合
  2. 上記かつIM「電動機の定格電流の総和」が50Aより小さい場合
  3. IW「幹線の許容電流」はIM「電動機の定格電流の総和」に1.1とIH「そのほかの負荷の定格電流の総和」の合計より大きい若しくは等しい値となります

過電流遮断器の選定方法

電動機なし IB≦IW
電動機あり 2.5IW≧3IM+IH IB≦3IM+IH
2.5IW<3IM+IH IB≦2.5IW

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