高圧ケーブル終端接続部ケーブルヘッド 耐塩

【電工1】高圧ケーブル終端接続部ケーブルヘッドの試験対策は種類とストレスコーンの役割

6,600kV電力線を受電設備へ引き込む部分に設置される終端接続部(ケーブルヘッド; CH)

過去10年間で7回出題されている超重要問題。

超重要だが、出題されるポイントはわずか2つ

  1. 外観から3タイプを見極める
  2. ストレスコーンの役割は電位傾度の緩和

きっちりマスターして、合格に近づいてほしい。

高圧ケーブル終端接続部(ケーブルヘッド)

ケーブルヘッドCH で確実に押さえておく2つのポイント

  1. 外観から3タイプを見極める
  2. ストレスコーンの役割は電位傾度の緩和

外観と種類・構造

終端接続部(ケーブルヘッド; CH) は複数種類が規定(日本電力ケーブル接続技術協会技術資料)されているが、電工1試験合格を目指すあなたに重要なのは、次の3つ

  • ゴムストレスコーン形屋内終端接続部
  • ゴムとう管形屋外終端接続部
  • 耐塩害終端接続部
ゴムストレスコーン形屋内終端接続部

ゴムとう管形屋外終端接続部

耐塩害用終端接続部

見極め

試験では、ケーブルヘッドの拡大図を見せてどのタイプかを解答させる。

そこで重要なのが3タイプの見極めかた。見極める場所は下図に示す赤丸で囲った箇所。

右側から説明したほうが分かりやすいので、説明は右から。

右の耐塩害終端接続部。赤丸部分に碍子のような形状のものがドーンと一つあるのが特徴。

真ん中のゴムとう管形屋外終端接続部薄いお皿を下向きに複数枚重ねた感じの部品が特徴で、この部品はゴムとう管と呼ぶ。

左のゴムストレスコーン形終端接続部。さきほど2つの比べると、赤丸部分は「ケーブルしかない?」と感じるシンプルで細い形状。ちなみに、ストレスコーンは赤丸より下の②の少し膨らんだ部分。


赤矢印で指した見極め箇所碍子のようなものがドーンと一つあるので、耐塩害終端接続部

電位傾度の緩和

ストレスコーンの役割電位傾度の緩和

高圧ケーブルの端末部分は、導体・絶縁体・銅遮蔽テープという構造になっている。

導体と銅遮蔽テープが平行に配置されている部分は、導体から銅テープへ向かう電気力線は均一

一方、ケーブル終端部分では、近くに銅テープが存在しない導体から発生する電気力線は、最も近くの銅テープ端部に到達する。これによりテープ端部に電気力線が集中し、電位傾度=電界強度が大きくなる

すると、銅テープ端部に接触している絶縁体部分に高電界がかかり続けるため、他の部分よりも早く絶縁性能が低下=劣化する

この劣化を防ぐ(遅くする)ため、ケーブル終端部の銅遮蔽テープと絶縁体の間にストレスコーンを挿入、銅テープを円錐形する。すると、電気力線の集中が緩和され、電位傾度が緩和=電界強度が低くなり、劣化を遅くすることができる

 

問題:②で示すストレスコーン部分の主な役割は。

  1. 機械的強度を補強する
  2. 遮蔽端部電位傾度を緩和する
  3. 電流の不平衡を防止する
  4. 高調波電流を吸収する

ストレスコーンの役割はケーブル終端部の電位傾度を緩和すること。答えは2。

 

まとめ

ケーブルヘッドCH で確実に押さえておく2つのポイント

  1. 外観から3タイプを見極める
  2. ストレスコーンの役割は電位傾度の緩和

慣れればすぐに正答できるようになると思う。繰り返し練習して、超いただき問題にしてほしい。

ケーブルヘッドの種類

ケーブルヘッドの種類には、以下のようなものが挙げられます。

耐塩害終端接続部

耐塩害終端接続部は海岸部用です。
沿岸地域は塩害を原因として、漏電や停電などが起こる場合があります。
耐塩害の規格は、ポリエチレン絶縁電力ケーブル用とされています。

ゴムストレスコーン形屋内終端接続部

ストレスコーンは電気的なストレスを緩和するために作られた部分です。
ゴムを使用することの多い現場で、作業が簡単にできるように作られたとされます。
ゴムストレスコーンの接続方法は、プレハブ工法とも呼ばれています。

ゴムストレスコーン形屋外終端接続部

屋外型のケーブルヘッドです。
外見は耐塩害のように部品がつけられているわけではなく、すっきりとした見た目です。

ゴムとう管形屋外終端接続部

ひだのような雨覆部分と、ゴムストレスが一体化されたケーブルヘッドです。
端子部分と一体化することで、防水性能を高めています。
雨が多い地域や寒冷地などの、汚損地区などで用いられています。

テープ巻形屋内終端接続部

ストレスコーン部に円錐状に絶縁テープを巻きます。
さらに鉛テープか、半導電性融着テープを上から巻いて仕上げます。
屋内用のほか、屋外用もあります。
屋外用は屋内用と同じ規格となっており、中汚損地区などで用いられます。

ケーブルヘッドの注意点

ケーブルヘッド

ケーブルヘッドは正しい手順で使用しないと、施工者に危険が及ぶ可能性があります。
ここでは、ケーブルヘッドの注意点についてご紹介します。

半導電性テープを剥ぎ取る

ケーブルヘッドを使用する際には、半導電性テープを完全に剥ぎ取りましょう。
テープが残った状態では、ケーブルヘッド内の電気絶縁が維持できません。
半導電性テープを剥ぎ取るには、専用工具やニッパーなどを使用します。
半導電性架橋ポリエチレンの場合は、剥ぎ取り位置が決まっているので確認しましょう。
剥ぎ取り位置が短冊状になっている場合、専用工具で切り込みを入れてポリエチレンだけを剥ぎ取りましょう。
短冊状になっていない場合は、らせん状に切り込みを入れます。
そこから絶縁体を傷つけないように剥ぎ取りを行います。

保護テープを巻く

ケーブルヘッドは、浸水防止のために保護テープを巻きます。
また作業の際は雨天を避けて、ケーブル内部に水が入らないようにしましょう。
テープを巻く際には、適度に伸ばしながら1/2ずつ重ねて巻きます。
巻き終わりは切り口を斜めにして、ナイフやハサミなどで切りましょう。

ケーブルヘッドの特徴や注意点を覚えておこう

ケーブルヘッドは高圧ケーブルを接続する際に用いられる端末処理剤です。
絶縁破壊と水分がケーブルに入らないために用いられます。
規格や仕様などがそれぞれ異なるため、使用場所に適したケーブルヘッドを選んで使用しましょう。

 

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